航空会社のマイレージ会員資格は、利用する頻度によってランク分けされています。
普段乗らずに旅行の時や、帰省の時にだけしか乗らない人(陸マイラーもこの中に)は平会員。仕事でたびたび利用する人は上級会員になります。JALマイレージバンク(JMB)の上級会員資格は、甘いフランボワーズの香り漂う、しっかりと熟成された赤ワインのようでした。
JALマイレージバンク(JMB)上級会員とは
JALマイレージバンクにはFLY ONプログラムという、JALをいつも利用している会員向けのサービスがあります。毎年1月~12月の12カ月間に貯めたFLY ON ポイントや搭乗回数に応じて、さまざまなサービスを提供。これが魅惑のサービスなんですよ。
JALマイレージバンク上級会員資格一覧
JALマイレージバンク(JMB)上級会員資格には3種類のステータスがあります。
最上級にはJMBダイヤモンド、次にJMBサファイア、そしてJMBクリスタルです。それぞれの資格を得るためには、毎年1月~12月の12カ月間にFLY ON ポイントを貯めるか搭乗回数をクリアしなければいけません。
会員資格 | FLY ONポイント | 搭乗回数 |
JMBダイヤモンド | 100,000ポイント | 120回(うちJALグループ便60回) |
うちJALグループ便50,000ポイント | かつ35,000FLY ONポイント以上 | |
JMBサファイア | 50,000ポイント | 50回(うちJALグループ便25回) |
うちJALグループ便25,000ポイント | かつ15,000FLY ONポイント以上 | |
JMBクリスタル | 30,000ポイント | 30回(うちJALグループ便15回) |
うちJALグループ便15,000ポイント | かつ10,000FLY ONポイント以上 |
JMBクリスタルを達成するにも、30,000ポイントまたは30回以上の搭乗が必要となります。1年間に30回飛行機に乗るとなると、毎月3回は乗る必要があります。
なぜ航空会社は上級会員資格を用意するのか?
上級会員資格を用意しているのはJALだけではありません。ANAも用意していますし、海外の航空会社もマイレージサービスを導入している会社は全て(と言えると思います)上級会員資格を用意しています。なぜこのような資格を用意しているのでしょうか?
理由は顧客つなぎとめのためです。
年間30回以上、あるいはそれに準ずる回数、自社の飛行機に乗ってくれるお客は当然お得意様です。しかもそういったお客は格安チケットでは無く、正規料金あるいはそれに近い料金で乗ってくれる仕事で利用しているお客です。航空会社にとって、仕事で利用してくれるお客は大切な収入源。他社に乗り換えてしまわないようにつなぎとめるための施策、それが上級会員資格なのです。
JAL FLY ONポイントとは?
上級会員になるためのポイント、FLY ONポイントとはどのようなものでしょうか?
FLY ONポイントはマイルと同様、搭乗した距離と購入した航空券の運賃種別で決まります。飛行距離の長い路線に、正規運賃で乗るとより多くのFLY ONポイントが貯まります。その他にも細かいルールがあり、理解するには時間がかかる仕組みです。
FLY ONポイントは以下のFLY ONポイント計算式によって算出されます。
FLY ON ポイント | = | フライトマイル | × | FLY ON ポイント換算率 | + | ボーナスポイント |
区間マイルと、ご利用になるクラスや運賃に対応したマイル積算率により算出。 | 日本国内線:2倍 | JALグループ便搭乗の際、利用する運賃に応じて追加されるポイント。 | ||||
JAL便の日本発着 中国・香港・アジア・ オセアニア線:1.5倍 | ||||||
上記以外の国際線:1倍 |
例えば東京羽田空港から大阪伊丹空港まで普通席に先得運賃で搭乗すると、
フライトマイル210マイル×日本国内線2倍=FLY ON 420ポイント、になります。普通運賃やビジネスきっぷなどの割引率の低い運賃で搭乗すると、FLY ONポイントプレゼントキャンペーンの400ポイントが加算され、さらにフライトマイルが100%加算されるので、960 FLY ONポイントが加算されます。
計算式はややこしいので、JALでもFLY ONポイントを検索できるサイトを用意しています。
JALマイレージバンク上級会員になるメリット
1年間に30回以上あるいはそれに相応するFLY ONポイントを貯めて得られる上級会員資格で受けられるサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?
予約に関するサービス
航空券を予約するときは以下のようなサービスを受けられます。
ステイタス | ダイヤモンド | サファイア | クリスタル |
---|---|---|---|
専用予約デスク | ○ | ○ | ○ |
予約時の優先キャンセル待ち | ○ | ○ | ○ |
国内線前方座席指定サービス | ○ | ○ | |
国際線前方座席指定サービス | ○ | ○ | ○ |
国内線先行予約サービス | ○ | ||
国内線特典航空券先行予約サービス | ○ |
専用予約デスクは上級会員向けに別途電話回線を用意しており、待ち時間無し(あるいは短時間で)用件を済ませることができるようになっています。問い合わせの電話をしたときに「ただいま大変混雑しています」のメッセージを聞いてイライラすることもありません。
あいにく希望の便に空席が無い場合でも、上級会員には優先的にキャンセルが出た席を回してもらえます。あなたが先にキャンセル待ちをしていても、後からキャンセル待ちに並んだ上級会員の方が先に搭乗する権利を得られるのです。ディズニーランドのアトラクション待ちの列に、すっと割り込まれるような感じですが、JALがそれを許可しているのですから文句は言えません。文句があるなら上級会員になってね、ということです。
前方座席指定サービスは、普通席搭乗時に機内前方の座席を指定できるサービス。機内前方に座れば、空港到着時に素早く降機することができます。忙しいビジネスマンは空港に着いたらすぐに目的地に向かいたいのです。
国内線先行予約サービスや国内線特典航空券先行予約サービスはその名の通り、通常の予約開始日である搭乗日の2か月前のさらに前、2か月+2週間前に予約ができるというもの。あなたが予約したかった特典航空券に最初から空席が無いのはダイヤモンド会員が先に予約してしまったからです。
搭乗時のサービス
航空券を予約、購入して空港に向かったときにも、当然ながら上級会員向けのサービスがあります。
ステイタス | ダイヤモンド | サファイア | クリスタル |
---|---|---|---|
専用カウンターでのチェックイン | ○ | ○ | ○ |
空港での優先空席待ち | ○ | ○ | ○ |
受託手荷物無料許容量の優待 | 国内線:20kg 国際線:1個 | 国内線:20kg 国際線:1個 | 国内線:10kg 国際線:1個 |
ダイヤモンド・JGCプレミア専用保安検査場 | ○ | ||
JALグローバルクラブ エントランス | ○ | ○ | |
ファストセキュリティレーン | ○ | ○ | |
「JALファーストクラスラウンジ」のご利用 | ○ | ||
「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」のご利用 | ○ | ||
カードのご提示によるラウンジのご利用 | ○ | ○ | |
国際線の優先搭乗 | ○ | ○ | ○ |
国内線の優先搭乗 | ○ | ○ | |
プライオリティバッゲージサービス | ○ | ○ |
専用カウンターでのチェックインは、空港でチェックインの際に上級会員専用チェックインカウンターを利用することができるサービスです。年末年始やGW、お盆などの繁忙期は旅行客でチェックインカウンターは大混雑。そんな中、余裕のある上級会員専用チェックインカウンターで待ち時間がほとんど無しでチェックインできます。これは優越感高い!
空港でも優先空席待ちができます。台風の影響で搭乗予定の便がキャンセルになった場合に、次に飛ぶ便の空席を優先的に割り当ててもらえます。カウンターに一番乗りで並んだあなたではなく、後から来た上級会員の方が優先です。
飛行機に乗るときは、預け入れ荷物の重量が気になりますね。特に帰りの便ではおみやげが増えてスーツケースのフタが閉まらない、なんてことも。しかし大丈夫。上級会員ならプラス10㎏、20㎏重量が増えても問題ありません。
チェックインの次はセキュリティチェックを受けますが、ここでも上級会員は優遇されます。ダイヤモンド・JGCプレミア専用保安検査場やJALグローバルクラブ エントランス、ファストセキュリティレーンを通過すれば、こちらも待ち時間無しに出発ゲートへ向かうことができます。
上級会員は空港での待ち時間を待合室で過ごすことはありません。「JALファーストクラスラウンジ」や「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」「サクララウンジ」、海外ではJAL提携ラウンジで飲み物や軽食をいただきながら優雅に過ごすのです。混雑する待合室で空席を探す必要もありません。
搭乗ゲートでは、まず最初に上級会員が機内へ案内されます。「優先搭乗のご案内をいたします」というアナウンスを耳にされると思いますが、あの優先搭乗を受けられるのです。普通席では手荷物を頭上の棚に入れようとしてもいっぱい、なんてことがありますが優先搭乗でいの一番に乗り込めば、棚に入れ放題です。
目的地に到着後も上級会員は優遇されます。預け入れ手荷物はまず最初に上級会員の荷物からターンテーブルに回ってきます。上級会員は空港や機内での動線がスムーズかつ快適に行えるよう、あらかじめ用意されているのです。
ボーナスマイル(マイルアップサービス)
上級会員にはマイルまでボーナス付きです。
下記の航空会社に搭乗した際には、フライトマイルに加えてボーナスマイルが貯まります。ダイヤモンド会員は倍のマイルが貯まることになり、ただでさえ搭乗機会が多いのに、ボーナスマイルでさらにマイルががっぽり、となるのです。
ステイタス | ダイヤモンド | サファイア | クリスタル |
---|---|---|---|
JAL・アメリカン航空 | 130% | 105% | 55% |
ブリティッシュ・エアウェイズ | 100% | 100% | 25% |
イベリア航空 | 100% | 50% | 25% |
その他のサービス
ダイヤモンド会員のマイルは有効期限が停止されます。通常マイルの有効期限は3年間ですから、3年後の同月末から使用していないマイルは消滅していきますが、ダイヤモンド会員である限り、マイルの有効期限はありません。ダイヤモンド会員資格を失った月から3年間の有効期限が発生します。
JMBダイヤモンド特典航空券はダイヤモンド会員は特典航空券の空席が無い場合でも、一般予約が可能な席に空席がある限り、通常の倍のマイルを支払えば特典航空券を予約できるサービスです。2人で旅行したいけど、1席しか特典航空券が無い場合でも一般予約席に空席があれば特別に特典航空券を予約できるのです。マイルが倍貯まるダイヤモンド会員ならではのサービスですね。
パイロット体験航空教室は、ダイヤモンド会員だけが応募できるイベントです。2017年は1月30日、1月31日の2日間、1日2組4名限りで、パイロットが実際に訓練に使用しているフライトシミュレーターでフライト体験ができるという、貴重なイベントなんです。当たった人、いいなー(応募すらできない一般人です)。
ワンワールド(OneWorld)加盟航空会社でもサービスを受けられる
JAL上級会員になると、JALも加盟する航空連合ワンワールド加盟各社でも上級会員として扱われます。
JAL上級会員資格にはそれぞれワンワールドエリートステイタスが付与され、ワンワールドに加盟する他の航空会社(アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空、フィンエアー、キャセイパシフィック航空、マレーシア航空、カンタス航空など)に搭乗するときも、ラウンジの利用や優先搭乗が可能なのです。
ステイタス | ダイヤモンド | サファイア | クリスタル |
---|---|---|---|
ワンワールド・エリートステイタス | エメラルド | サファイア | ルビー |
JALマイレージバンク上級会員になるデメリット
ありません。
強いて言えば、搭乗した際にCAさんから「**さま、いつもご搭乗ありがとうございます」と挨拶されて恥ずかしいぐらいでしょうか。
JALグローバルクラブ(JGC)とは
こんな夢のようなJALマイレージバンク上級会員資格。毎年FLY ONポイントを貯めたり、搭乗回数を稼いだりするのは無理でも、一回だけ上級会員資格(JMBサファイア)を得れば、その後も上級会員資格を維持できる制度があるんです。
それはJALグローバルクラブ(JGC)に入会するという方法です。
JGCに入会する方法
JGCに入会するためには2つの条件があります。
- JMBサファイアであること
- JALカード(CLUB-Aカード、CLUB-Aゴールドカード、JALダイナースクラブカード、プラチナカードのいずれか)会員であること
まずは一度だけ、一度だけサファイアの基準に到達する必要があります。JMBサファイアになるには、1年間に50,000FLY ONポイントを貯めるか、50回以上搭乗するかのいずれかをクリアしなければなりません。
この条件をクリアするために飛行機に、JALに乗りまくることを誰が言いだしたのか「修行」といいます。JGCになるための修行なので「JGC修行」です。用事もないのに飛行機に乗ることが苦行に近いため、修行と呼ばれるようになったようです。
しかし近年はサファイアになるために飛行機に乗りまくることを楽しんでいる方も大勢いらっしゃいます。twitterなどで同じ修行仲間とつながり、お互い切磋琢磨(?)することで修行が苦行では無くなっているようです。
JMBサファイアに到達し、しばらくするとJGC入会案内が送られてきます。必要事項に記入して返送すればOKなんですが、JGC修行を行う前に、JALカード(CLUB-Aカード以上)には入会しておきましょう。JGC入会基準に到達したのに、JALカードに入会できなかった、なんて悲しいことが起きてしまう人がまれにいるようです。クレジットカード発行ができない場合はJGC入会をあきらめるしかありません…
一度JGCに入会してしまえば、クレジットカードの年会費を払い続ける限り、JAL上級会員資格が維持されます。
JGCが無くなることはないの?
いまのところ、無いと思います。
ANAにも同様の会員組織「スーパーフライヤーズ会員」があります。こちらもクレジットカードを所有し、年会費を払う限りANAの上級会員資格を維持できます。
ANAとJALはライバル関係にあり、一方がこの仕組みを止めない限りもう一方は止めるわけにいかない、という関係が続く限り、このJGC資格は維持されると思います。
JGC修行に必要な費用
JGC修行に必要な費用はどのくらいでしょうか?
JGC修行で使われる指標として”FOP(FLY ON POINT)単価”があります。1FOP獲得するのにかかった費用として計算され、FOP単価が10円なら標準的、8円ならお得、12円は割とかかっちゃったね、という感じです。
FOP単価10円で修行した場合に必要な費用は、10円×50,000FOP=50万円。おー、やはりかなり必要ですね。FOP単価が12円なら60万円になります。
JGC修行の場合、回数修行という方法もあります。JALグループ便に1年間に50回搭乗してしまう方法ですが、伊丹ー但馬や福岡ー宮崎といった短距離かつ安い路線を25往復しちゃう(まさに修行)とJGC資格を獲得できます。
伊丹ー但馬間の往復は先得割引で14,200円。
福岡ー宮崎の往復は先得割引で13,600円でした。
14,000円×25=35万円ですので、FOP単価は7.0円となり最も費用を抑えてJGC資格を得ることができそうです。
ポイントサイトで貯めたポイントをJGC修行に回すこともできます。
参考 ハピタスポイントがチャージできるVISAプリペイドカード”Pollet(ポレット)”でJGC修行
JAL国内線航空券を購入するときは、楽天リーベイツを利用するとお得です。
参考 JAL航空券の購入でポイント・マイルを貯める方法。楽天リーベイツが1.0%ポイント還元でお得。
まとめ
JAL上級会員資格は飛行機に乗る前、乗るとき、降りてからが優遇される、夢のような資格です。新幹線に何回乗ってもこのような資格を得ることはできません。だってそんな仕組みは無いんですから。
さらにJGC会員になれば生涯、その上級会員資格が維持されるわけですから、チャンスがあればぜひ、狙いたい資格ですよね。
熟成された赤ワインを片手に、飛行機に搭乗するまでの時間を空港ラウンジで優雅に過ごす、そんな体験ができるJALマイレージバンク上級会員資格・JGC会員なのでした。
コメント